Chapter14 ハハの居るところ
入院生活約1か月、なんとか乗りきったハハは再びグループホームへ復帰しました。
退院前100万回ぐらい言い聞かせたせいか、入院生活で多少疲れていたせいか、案外すんなりホームへ入り、もちろんそこで数日生活していた事はすっかり忘れていたけれど、職員さんたちに「おかえりなさ〜い!」と明るく迎えられてそんなに悪い気はしなかったのかも。
ともあれ、再入居の今回は薬の効用か興奮する事もなく、多少の問題行動はあるものの「ずいぶん穏やかになられて、これなら大丈夫‼︎」と施設長さんの力強い言葉もいただけて、ワタシようやく一息つけそうであります(泣)。
ところでその問題行動というのは何か?
その1。
自室のタンス(借り物)に整理して入れておいた着替えをポリ袋にパンパンに詰めて玄関に並べ、「帰るから用意しているの!」と主張する。
その2。
「娘(ワタシ)に電話する!」とおりあらば施設長さんにせっつく。
その3。
自分に覚えがないもの、気に入らないものをタンスの外へほっぽり出す。
以上全て帰宅願望からくるハハの表現方法なのだそうです。
だだどれも以前のように激しい怒りを伴っていないので、様々な方法及び話術で気をそらせるとすぐ忘れてしまい問題ないとのこと。
さてさて本格的にプロの手に委ねることにより、ワタシの見護りの日々もとりあえずお休みになります。もちろんハハが元気なうちはいろんな形で関わっていきますし、どこにいてもハハはハハ。たとえワタシのことを忘れちゃう日が来ても、ハハにもワタシにも心強いサポーターがたくさんいてくれるので、その都度最善の方法をとっていきたいと思います。
そして娘としての最大の願いは、ここでハハが心穏やかに楽しく暮らしてくれること、本当にそれしかありません。
読んでくださってありがとうございました。
また近々別の形で漫画ブログを続けていくつもりなので、そちらもよろしくです。
Chapter13 認知症病棟のこと
施設長さんの話に納得し、入院を決めたワタシですが、本音を言うと不安でいっぱい。
だって・・・あまり馴染みのない病院、しかも精神科ですよ⁉︎
今はけっこう鬱やらなんやらで、かなり精神科がカジュアル&オープン傾向になってきたとはいえ、認知症専門病棟がある病院って一体?ちなみにアルコール依存症病棟もあるそうな。
お産以外で入院したことないのが自慢のハハ。
はたして大丈夫か?
心配と同時に興味深々なワタシ(←不謹慎)
ではレポートスタートです。
ここを訪れての第一の衝撃はやはりここだと思います。
入り口の施錠。
入院病棟への入り口はガッチリ施錠されていて、面会などの際はまず受付での事前連絡が必要で、それからインターホンの呼び出しになります。
重々しい鉄の扉が内側から開けられると、そこから先はすぐ広々した廊下とロビーが広がります。
窓も大きく壁も床も白いこのロビーがやたら広く感じるのは、とにかくものが少ないからでしょうか。
テレビと公衆電話が各1台。
それだけ。
これは病室も同じで、なんというか流行りのミニマリスト部屋を彷彿させるインテリア?ですね。
それと職員さんたちの男性率(若い)が高いような気がします。
孫レベルの男の人たちが、じーさんばーさんを上手くあしらいつつ動く動く。
みなさん本当にテキパキ気持ち良く働いておられました。
そして特筆すべきは食事!
あのわがままなハハが「ここのご飯美味しい!」って絶賛しておりましたから。
ハハは約1か月ここでお世話になりましたが、いつ面会に行ってもご飯のことベタ褒めでした。
そんなこんなで薬の調整も終わり、無事退院許可が下りたハハ。
再びグループホームへ出戻りますが、今度こそ馴染めるでしょうか?
続きます。
Chapter12 入院へ
続きです。
案の定、入居早々ハハはやらかしました。
同じホームのおばあちゃんが言った一言(何を言われたかは不明)にカチーンときたハハは、椅子を持ち上げ投げつけるわ、杖を振り回すわの大騒ぎ。
翌日施設長さんから話を聞いた時にはさすがのワタシも愕然としました。
けどね。
ハハ反省してるんですよ。
しゅ〜んとしちゃって仮猫状態。
「腹たって腹たって抑えきれなかったん・・・」
・・・そうでしょうね。
プライドの高いハハなので、我を忘れて人サマに狼藉を働くなんて、通常ならば考えられない事ですから。
グループホームでの暴力トラブルになると、精神科入院で薬調整、様子見パターンがベストらしいのですが、残念ながらハハもその道へ進むことになっちゃいましたよ。
ああ、どうなるハハ⁉︎
もちろんいきなり入院ではなく、まずはホーム専門ドクターの診察から。
結果、かなり認知症が進行しているとのこと。
そして薬が全く飲めておらず、感情の抑えがきかなくなってるだろうとのこと。
やはりホーム生活の前に、きちんと24時間見守り体制の中で、薬を再調整する方がいいだろうとの診断が下されたのでした。
入院決定。
精神科への強制入院(医療保護入院)と聞くと、全く知識も経験もないワタシは正直ビビりましたが、ここは腹くくって決行へ。
ハハにもなんとか納得してもらい、入院の運びとなりました。
次回はその病院のお話です。
ドキドキするわ〜。
Chapter 11 グループホームへ
クビ?
入所拒否?
契約不成立?
・・・とにかくここにハハの居場所はないとはっきりした以上、呆然と途方に暮れているヒマはワタシにはありません。
次の施設を探さなければ!
我々(ワタシを筆頭にハハ入居施設プロジェクトにかかわった人たち)が思っていたよりかなり深刻に認知症が進んでいたハハにとって、もはや選択の余地はなし。
グループホーム一択なり。
それならば、実は事前見学に行った所で目星をつけていたグループホームがあったのです。
ホーム全体の雰囲気が明るく、家からも近い、そして何よりもとても頼り甲斐のある施設長さんだったのでした。
だけど1月の時点では、まだグループホームは早いのではと思っていたし、空きがなかったせいもあって、お話を聞いていただくだけで終わってしまったのですが、ハハのクビ決定連絡を受けたとたん脳裏をかすめたのはこのホーム。
そしたら!
何と!
1室空きが出たっていうじゃありませんか‼︎
もうここでお願いします。
おそらくここしかハハは無理です。
わらにもすがる思いで、再び入居手続きをスタートさせたワタシでした。
さて次の施設が決まったものの、それから事態は2転、3転。
施設入居にあたっては事前に色々な段階を踏まなきゃならないのですが、とにかく早く引き取ってくれ〜!と前施設からの強い要望で、ほとんどの手続きをぶっ飛ばして強制移動でのホーム入居。
ほぼ拉致状態で連行されたハハ。
それでなくても暴れ続けているハハが、いくら専門施設だからといってすぐにおとなしく馴染むと思います?
否。
グループホーム入居日その夜から、またしてもハハの乱行が炸裂したのでした。
こわいけど続きます。
Chapter 10 ハハの逆襲 その2
前回から続きます。
さて、事務所に凄まじい勢いで乱入してきたハハの次なる行動は?
ハハ「あんたッ!こんなところで何してんのッ!」
バシバシバシバシ‼︎←ワタシが殴られる音
ハハ「この人には家庭があるやろ!」
バシバシバシバシ‼︎←ひたすら殴られる音
施設長さん「おかーさん、まずは落ち着いて・・・」
ハハ「あなたにおかーさんなんて呼ばれたくないわッ!」
バシバシバシバシ‼︎←ずっと殴られる
・・・・・
この後2時間かけてハハをなだめ、よくよく聞いてみたところ、どうやらワタシが施設長さんに色仕掛けをしていたと思ったそうな。
・・・・・
あのですね、ここまでぶっ飛ばされちゃうともう誤解もへったくれもありませんわ。
話にならん。
この日はもちろん契約は成立せず、ワタシの中でハハの新生活にいや〜な予感がよぎったのでした。
もうお分かりでしょうが、こういう時の予感って大体当たるんですよね。
そうハハの乱行は想定を軽く超えたレベルで続くことになります。
泣く、わめく、食事拒否。
他の入居者さんに暴言。
個人部屋に無断侵入。
施設長さんにまとわりつき、帰る帰ると離れない。
これをずっとやり続けること約1週間。
とうとう施設長さんからSOSが出ました。
ここではハハは無理だと。
このままではハハ自身がもたないと。
そして3か月かけたワタシの大プロジェクトはたったの1週間で崩壊し、振り出しに戻ったのでした。
さぁ、ハハをどうする?
Chapter9 ハハの逆襲
お久しぶりでございます。
とは言いつつ、自分としては思ったより早めの復活。
ってか、復活してここで吐き出さなきゃやってらんねー事態になりつつあるのです。
しかも恐ろしい事に現在進行形で。
追って説明しますと・・・
実はこの見護り日記をスタートさせて早々、ワタシはもうこれは一人で見護れる状況ではないと白旗を掲げ、しかるべき相談所に駆け込みました。
これが今から三ヶ月前、1月半ばの事です。
そこで施設入居を勧められ、専門家に話を聞き、うちの条件及びハハの状態を踏まえた上で数カ所をピックアップしてもらい、それぞれ見学の後良さげな所の仮申し込みを済ませ、入所に向けて本格的に動き出したのが3月頭だったはず。
横浜在住の兄も巻き込み、説得するためのウソも少々混ぜながら、荷物は少ないとはいえ引っ越しの手配もして、いよいよ4月10日の入所日を迎えたわけです。
いろいろ長く辛い道のりでしたわ。
さてその間、問題のハハは一体どうしていたでしょう?
そこんとこがみなさんの一番の疑問にちがいない。
何しろ、これまでデイサービスを始め介護関連を一切受け付けず、何よりも今現在の自分の状態について全く無自覚なハハですから。
ワタシもそこが最難関なのは重々承知していたので、前述したようにウソも交えながらじわじわ外堀から埋めていったわけです。
そしてやはりプロはプロ。
うまく誘導してあのハハを連れ出し、施設見学もさせ、仮約束まで本人としちゃうんだからすごいなぁ。
とは言うものの、入居当日はそんな約束なんぞすっかり忘れ去ったハハを、無理やりタクシーに押し込めてほぼ拉致状態で連れて行ったんですけどね。
とにかく入れてしまえばこっちのもんと、甘〜い考えがワタシにあったのだと今ならよーくわかるのですが、当日はワタシも必死だったんですよね、ほんとに。
ところがここからが本番なのです。
簡単な荷物整理も終わり、いよいよ施設長さんと本契約を結ぶべく事務所で説明を受け始めた、まさにその時事は起きた。
ハハの乱入‼︎
この恐ろしい話は次回に続きます。
Chapter8 ハハの料理
ども!
料理話が続きます。
今でこそアレなハハですが、実を言うとハハはとってもスペシャルな母でした。
外でフル仕事を持ちながらも家事は万全、特に料理は完璧でしたねぇ。
何しろ朝晩ボリューム満点のメニューに加え、お昼はもちろんお手製弁当なんですから。
兄とワタシのそれぞれ6年間と、父に至っては退職するまでほぼ40年間ずーーーーーっと作り続けていたのだからすごすぎますわ。
そんなハハですので、料理の手順がわからなくなったとぼやきつつも作る作る。
そして材料も買う買う。
で、これが目下のワタシの最大の悩みであります。
例えば。
最近連日お目見えする、得体の知れない大量の煮物。
ワタシが思うに、ハハの中でおでんと肉じゃがと筑前煮の材料と調理方法がごっちゃになっちゃった結果ではないかと。
そこに旬の素材(今なら筍とか)やら目についた素材(色々なキノコ類とか)がプラスされて、もう何が何だか(笑)。
いくら怒られても味付けも切り方も微妙なこの煮物、食べられます?
ハハが寝室に引っ込んだ後、今日もごっそり処分するワタシ。
後は。
ワタシの作ったカレーの水増しバージョンとか。
先日、ハハに絶賛されたカレーのお話をしましたよね。
あれが、翌日には倍増してたりするんですよ。
きちんとルウを足して増やすならばそれほど問題はないんですが、おそらくレトルトカレー1袋と水のみで増量させるもんだからしゃぶしゃぶ。
おまけに新たに糸コンニャク?やらぶつ切りごぼう?やらが加わってもうわけわからん。
こちらも速やかに処分させていただきます。
過剰食材対策もたいがいですが、調理済のものは転用しようがなく、勿体無い感がハンパないです、本当に。
さてこのように孤軍奮闘の日々を送ってるワタシですが、とある計画実行のためしばらくお休みしたいと思います。
元気に復活できることを信じつつまたね〜。
本日の見護りポイント
- 得意分野は超キケン!
- 捨てるのも仕事